可処分所得を増やすためにできること
L:time代表の足野です。
時間を最大化するためには貯蓄率が重要と言われています。
※FIREと貯蓄率の関係についてはこちら↓
貯蓄率は貯蓄額を可処分所得で除したものです。
貯蓄額は収入から支出を引いた額なので貯蓄額を増やすためには、①支出を減らす②支出額は増やさないで収入を増やすことが必要です。
これまで生活費や浪費での支出を減らすためにできることをお伝えしてきました。
今回は「税金や社会保険料」という支出に着目します。
税金や社会保険料は所得が増えることで増える支出の一つです。
これらの支出を減らすことは、同時に可処分所得(手取り金額)が増えることへと繋がります。
しかし、これらは収入から源泉徴収されていることが多く、いつのまにか支出しているので金額を把握することも少ないかもしれません。
そこで、今回は所得税や社会保険料の仕組みから可処分所得を増やす方法までお伝えします。
可処分所得とは
可処分所得とは、収入から所得税、住民税、社会保険料を引いた所得のことを言います。
可処分所得を増やすためには、①収入を増やす②税金や社会保険料の支出を減らすという方法があります。
時間を最大化するという観点からは、収入を増やすことよりも支出を減らすことが大切です。
収入から納付税額が決まるまで
まずは、給与収入または事業収入から所得税額が決まるまでの流れを確認しましょう。
【給与所得の場合】
①収入ー給与所得控除=給与所得
②給与所得ー所得控除=課税所得
③課税所得×所得税率ー控除額=基準所得税額
④基準所得税額ー税額控除=納付税額
【事業所得の場合】
①収入ー経費ー控除=事業所得
②事業所得ー所得控除=課税所得
③課税所得×所得税率ー控除額=基準所得税額
④基準所得税額ー税額控除=納付税額
となります。
所得税を減らすための「控除」
納付税額を減らすといっても脱税は違法ですので、もちろん合法的な方法をお伝えします。
合法的に納付税額を減らすには「控除」の制度を活用します。
控除には以下のような種類があります。
- 雑損控除
- 医療費控除
- 寄附金控除
- 配当控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 障害者控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
- 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
- 給与所得控除(給与所得のみ)
- 青色申告特別控除(事業所得のみ)
などがあります。
会社員であれば4.〜18.は年末調整時に手続きができますが、1.〜4.は確定申告が必要です。
19.は事業所得のみに適用される控除です。
所得控除と税額控除
控除の中には所得控除と税額控除の2種類があります。
所得控除とは給与所得(または事業所得)から控除され、課税所得を少なくするものです。
一方、税額控除は基準所得税額から控除されるものです。税額控除の対象には、寄付金特別控除、配当控除、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)、特定増改築等中宅借入金特別税額控などがあります。
例えば所得税率5%の場合、所得控除によって課税所得が10万円控除されると0.5万円の節税となりますが、税額控除額が10万円の場合には基準所得税額からそのまま控除されるため10万円の節税となります。
このように、税額控除は納付税額への影響が大きいですので必ずチェックしましょう!
青色申告特別控除
事業所得がある場合には、開業届と青色申告承認申請書を税務署に提出し確定申告の際に所定の手続きをすることで青色申告特別控除が受けられます。控除額は最大65万円です。
給与所得控除
給与所得がある場合には給与所得控除を受けることができます。
事業所得者の場合には、収入から経費を差し引くことができるため課税所得額が低くなります。しかし、給与所得者の場合には経費を差し引くことができないため平等性を保つために給与所得控除があるとされています。
控除を活用して可処分所得を増やす
ここで、A:給与での年収が600万円の場合とB:給与での収入300万円、個人事業での収入300万円で合計600万円の場合の所得額を試算してみましょう。
※便宜上基礎控除、給与所得控除、青色申告控除のみ考慮します。
【Aの場合】
年収600万円
基礎控除額:48万円
給与所得控除額:164万円
600万円ー48万円ー164万円=388万円
388万円×税率20%ー42.75万円=34.85万円
600万円ー34.85万円=565.15万円
所得税額は34.85万円、所得額は565.15万円となりました。
【Bの場合】
年収合計600万円
給与年収:300万円
基礎控除額:48万円
給与所得控除額:98万円
300万円ー48万円ー98万円=154万円(a)
事業収入:300万円
経費:66万円(条件:Aの給与所得控除額と同額になるように調整)
300万円ー経費66万円ー青色控除65万円
=169万円(b)
a+bが課税所得です。
(154万円+169万円)×税率10%ー9.75万円=22.55万円
600万円ー22.55万円=577.45万円
所得税額は22.55万円、所得額は577.45万円となりました。
同じ年収600万円であっても、事業所得との合算の場合には12.3万円可処分所得を増やすことができました。
所得税は累進課税といって、収入が増えれば納税額は増える仕組みとなっています。
収入を増やすことだけ考えるとその分支出も増えることになりますので控除について理解して支出を減らす工夫をしましょう。
社会保険料が決まるまでの流れ
続いて、社会保険料が決まるまでの流れを確認します。
社会保険料の計算には、「標準報酬月額」という基準となる金額を用います。
原則として4~6月の3ヶ月間の給与の総支給額を平均した金額をもとに決定し、その年の9月から翌年8月まで適用されます。
総支給額に応じて、厚生年金の場合は31段階、健康保険の場合は50段階の等級に分けられ、その等級ごとに標準報酬月額が定められています。
保険料は労使折半なので自己負担は半額で済むことになります。
可処分所得を増やすためには、社会保険料を減らすことも考慮します。
社会保険料も所得額によって保険料が決まり、所得が増えると保険料も上がります。
適切に控除を活用することは社会保険料を減らすことにも繋がります。
社会保険料を減らすために
社会保険料は給与所得から徴収されている場合には、副業の収入からは徴収されないというルールがあります。
先程の例で試算してみましょう。
【Aの場合】
給与収入:600万円
標準報酬月額:50万円
健康保険料:約2.5万円
厚生年金保険料:約4.6万円
※保険料は折半額
毎月の社会保険料は約7.1万円となります。
【Bの場合】
事業収入:300万円
給与収入:300万円
標準報酬月額:25万円
健康保険料:約1.2万円
厚生年金保険料:約2.2万円
※保険料は折半額
毎月の社会保険料は約3.4万円となります。
年間保険料の差額は44万円となり、給与と事業から収入がある場合には可処分所得が年間約44万円増えることになります。
前述した所得税の節税額と合わせると約56万円もの可処分所得が増加しました。
副業で収入を増やすことは、税金または社会保険料の両方から可処分所得を増やすことになりますね。
複業として柔軟な働き方をすることは仕事の時間をコントロールすることができる上に、可処分所得を増やすというメリットがあります。
一方、デメリットは給与所得が少なくなると厚生年金保険料も少なくなりますので年金受給額が少なくなるということです。
このデメリットを把握した上でライフプランニングをする必要があります。
今回は可処分所得を増やす方法についてお伝えしました。
所得税や社会保険料は仕事をすることで増える支出のひとつです。
仕組みを理解して支出を減らす努力をすることは時間を増やすことに繋がりそうですね。
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